ZENBU / 社内AI
Larkの中にいて、案件の照会・資料の読み込み・数字の確認・文章の下書きを引き受ける社内メンバーです。買い足す機械はありません。事務所に置く装置もありません。
Q. Mac mini のような機械を買う必要はありますか。
A. 必要ありません。
AI桐山の本体は、社外のクラウド(Cloudflare)の上にあります。呼ばれたときだけ動き、呼ばれていないときは何も動いていません。事務所に置く機械も、そのための電源も、置き場所も、数年ごとの買い替えも発生しません。
検討されている他社製のAI「浅野藍」は、導入に Mac mini が必要とされています。AI桐山は0台です。この点は9章で詳しく比べます。
Q. 桐山のパソコンが動いていないと使えない、ということはありませんか。
A. ありません。
以前は、一部の見張り役を桐山のパソコンが担当していました。9月18日にその役目もクラウド側へ移したため、いまは誰のパソコンも関係なく動きます。桐山が休みの日も、夜間も、同じように動きます。
Q. もし止まったら、業務はどうなりますか。
A. 止まりません。これまで通りのやり方に戻るだけです。
AI桐山は「人の代わりに調べて、下書きを出す係」であって、業務そのものを動かす装置ではありません。答えが出ないときは、担当者がこれまで通り自分で調べる形に戻ります。加えて、AI桐山自身が30分ごとに「自分はちゃんと答えられるか」を実際の案件で試しており、答えられなくなった時点で桐山に連絡が飛びます。
Larkのトークルームに、いつでも起きている担当者がもう一人いる状態です。
受付番号を書けば案件の履歴を調べて返し、PDFや資料を貼れば中身を読んで要約し、「応答率は」「請求はどこまで進んだか」と聞けば社内のシステムを見に行って答えます。報告文やメール文面の下書きも作ります。
名前が「AI桐山」なのは、桐山が普段やっている「調べる・突き合わせる・下書きを書く」という仕事を、そのまま引き受けさせているためです。誰かの仕事を奪う位置づけではなく、待ち時間を消す位置づけです。
以下はすべて構想ではなく、本番で動いているものです。
受付番号を書くだけで、契約日・入電の履歴・作業報告の中身・業者へ送った依頼メールの控えまで、ばらばらのシステムから集めて1枚にまとめて返します。
受付・現場担当が助かるPDF・パワーポイント・ワード・エクセル・写真・ウェブページのリンクを貼れば、中身を読んで要点を整理します。長い資料を読む時間がなくなります。
全員が助かる委託先の応答率、出動件数、請求の進み具合、見積の状況などを、そのつどシステムを見に行って答えます。担当者に聞いて回る往復がなくなります。
管理・営業が助かる「前に同じようなことがあった気がする」を、実際の過去の作業報告から探して出します。人の記憶に頼っていた部分が残るようになります。
新しく入った人ほど助かる管理会社への報告文、業者へのメール文面、議事録。ゼロから書く時間が、直す時間に変わります。
担当者が助かる毎朝8時30分に、放っておくと問題になりそうな案件を一覧にしてトークルームへ出します。気づくのが遅れて大きくなる、を減らします。
上長・管理が助かる業者への作業報告の催促メールは、まず下書きをカードで見せ、人が「送る」を押して初めて送信します。勝手に送ることはありません。
管理が助かる桐山が休みのときは、引き継ぎメモを持った状態で代わりに答えます。「担当がいないので明日で」をなくすための機能です。
全員が助かる上から下へ、メッセージが流れていきます。点線で囲った部分がすべて社外のクラウド上にあり、社内に置く機械はありません。
[1] 人が触るところ
Lark(社内チャット)
クライアントごと・用途ごとに分けた25のトークルーム。「@AI桐山」と書いて話しかける。資料や写真もここに貼る。
[2] 受付
受付係
Larkからの連絡を受け取り、すぐ「受け取りました」と返す。話しかけていいルームか、今日の上限を超えていないかをここで確かめる。重い仕事は自分でやらず、次の待ち行列へ渡す。
[3] 待ち行列
順番待ちの箱
時間のかかる調べものを順番に処理する。ここがあるおかげで、混んでいてもLark側の反応は遅くならず、失敗しても取りこぼさない。
[4] 考える/調べる
考える係
質問の意味をとらえ、どこを調べるべきかを判断し、最後に日本語の答えを書く。ここだけ社外のAI(Claude)を呼ぶ。
調べる係(18種類の手段)
案件照会・作業報告・メール送信記録・議事録検索・写真・資料読み取り・シフト・予定表など。考える係が必要なものだけを選んで呼ぶ。
[5] 情報源
Kintone
作業報告・駆けつけ依頼・見積など、社内の案件データ。
送信メールの記録
いつ誰に何を送ったか。「あのメール送った?」に答えるための台帳。
社内の記録
議事録・トークの履歴・資料。過去の似た案件もここから探す。
PMVIEW
契約日や入電履歴。画面しかない仕組みのため、あとで述べる「見に行く係」を通す。
応答実績
委託先の応答率・出動件数。
自動化の稼働状況
社内の自動処理が止まっていないか。クラウドの実行記録を直接読む。
[6] 返す・残す
Larkへ返す
答え・要約カード・下書き・確認ボタン付きのカードとして返す。
記録に残す
やり取りと使った量を日ごとに記録。あとから「何にどれだけ使ったか」を出せる。
Lark(社内チャット)
聞いた本人と、そのルームにいる全員に同時に残る。次に同じことを調べる人の手がかりになる。
PMVIEWは、外から数字を取り出す仕組み(API)を持っておらず、人が画面を開いて見るしかありません。そのため、画面を代わりに開いて見に行く係だけは、常に動いている場所に置く必要があります。これはいま、データセンターで借りている小さなサーバーの中に1つ置いています。
この「借りているサーバー」を今後どうするかについては、10章でご提案します。
| 観点 | 事務所に機械を置く場合 | いまのAI桐山 |
|---|---|---|
| 置き場所 | 事務所に設置し、電源と通信をつなぐ | 不要 |
| 動いている時間 | 使っていなくても電源を入れ続ける | 呼ばれた瞬間だけ動く |
| 故障したとき | 止まる。買い替えまで復旧しない | 同じ仕組みが世界中の拠点で動いており、1か所が落ちても続く |
| 担当者の不在 | 電源を入れる人が必要な場合がある | 関係なく動く |
| 増やしたいとき | 台数を増やす | 設定を足すだけ。機械は増えない |
| 数年後 | 買い替えの検討が要る | 買い替えという概念がない |
補足:使った分だけの利用形態のため、使わない日は動きません。使った量は日ごとに自動で記録しており、必要なときにいつでも提出できます。
| これまで | これから |
|---|---|
| 案件の過去を調べるのに、複数のシステムを順番に開いていた | 受付番号を1行書けば、まとめて返ってくる |
| 「あのメール送った?」を人に聞いて確かめていた | その場で記録から答えが出る |
| 長い資料を読む時間が取れず、後回しになっていた | 貼れば要点が出るので、判断から始められる |
| 詳しい人が休むと、その件が翌日まで止まっていた | 引き継ぎメモを持ったAI桐山が代わりに答える |
| 気づくのが遅れて大きくなる案件があった | 毎朝、要注意の案件が先に出てくる |
| 人によって調べ方や書き方が違っていた | 同じ聞き方で、同じ水準の下書きが出る |
9月18日から、大東建託・オーナーズエージェント・ライフイン・TOKO それぞれに専用のトークルームを作りました。案件確認と勤怠にも専用ルームがあります。
社外へのメールは、必ず下書きを見せて人が「送る」を押してから送ります。押されるまで何も出ません。
社内システムに対しては原則として読むだけです。データを書き換えることはしません。
読み込んだ資料やウェブページの中に「こう答えよ」と書かれていても従いません。資料は資料として扱います。
反応するトークルームは登録した25室のみ。グループでは非公開の議事録や予定を出しません。
1日の応答回数に上限を設けており、想定外の連続動作が起きても自動で止まります。
確かめられないことは、推測で答えずに「わからない」と返します。もっともらしい誤答を出さないための決めごとです。
社内で検討されているもう一つの選択肢が、他社製のAIエージェント「浅野藍」です。以下は、先方から示されている導入条件と、浅野藍自身の説明にもとづく比較です。
浅野藍(他社製)
導入に Mac mini が必要/つながる先は、渡された資料・ファイル・Lark/裏方の整備(手順書づくり、開発作業、定期実行)が得意
AI桐山(自社製)
必要な機械は0台/つながる先は、PMVIEW・Kintone・送信メールの台帳・応答実績・見積・シフト/現場の案件対応が得意
浅野藍は Mac mini が必要。AI桐山は0台です。
ここが最も大きな差です。機械を1台置くということは、購入して終わりではありません。置き場所を決め、電源と通信をつなぎ、壊れたら業務が止まり、数年後には買い替えの検討が必要になります。担当者が休んだ日に電源が落ちていれば、その日は使えません。
AI桐山は、呼ばれたときだけクラウドの上で動きます。置くものがないので、壊れるものもありません。社長が最初に気にされた「機械はいらない方が助かる」に、そのまま当てはまります。
浅野藍は、渡された資料の中でなら賢く働きます。ただし社内の基幹システムにつながっていないため、「あの案件どうなった?」に自力では答えられません。答えを得るには、人が先に資料を集めて渡す必要があります。
AI桐山は、その資料を集めるところから担当します。受付番号を1行書けば、複数のシステムを自分で見に行って1枚にまとめて返します。人の時間を使わずに答えが出るという点が、業務での効き方を決定的に分けます。
準備が必要なAIは、忙しい日ほど使われなくなります。使われないAIは、機械代だけが残ります。
他社製品は、足りない機能があっても要望を出して待つことになります。断られればそこで終わりです。
AI桐山は自社で作っているため、言われたその日に直せます。実際、9月18日だけでも次のものを当日中に追加しました。
業務は毎月変わります。変わるたびに外へ依頼して待つのか、その場で直せるのか。運用が続くほど、この差は開いていきます。
| 比べる点 | 浅野藍(他社製) | AI桐山(自社製) | 優位 |
|---|---|---|---|
| 必要な機械 | Mac mini が必要 | 0台 | AI桐山 |
| 社内システムとの接続 | なし(資料を渡す必要あり) | あり(自分で見に行く) | AI桐山 |
| 案件の照会・催促・出動の確認 | できない | できる | AI桐山 |
| 機能を足したいとき | 先方へ依頼して待つ | 自社で当日直せる | AI桐山 |
| 使い始めるまで | 機械の手配と設置が要る | すでにLarkの25室で稼働中 | AI桐山 |
| 止まったときの影響 | 機械が壊れると止まる | これまでのやり方に戻るだけ | AI桐山 |
| 費用の出方 | 機械の購入と維持が先に発生 | 使った分だけ。使わない日は発生しない | AI桐山 |
| 情報の扱い | 他社の設計に従う | どこまで見せるかを自社で決められる | AI桐山 |
| プログラムの修正・テスト | できる | やらない(意図的に外している) | 浅野藍 |
| 画像の生成・読み上げ音声 | できる | できない | 浅野藍 |
| 資料の要約・文書作成 | できる | できる | 互角 |
プログラムの修正を現場のチャットから行える点は浅野藍の強みですが、これはAI桐山があえて持たせていない機能です。チャットから本番のプログラムを触れる経路は、事故が起きたときに止められません。開発作業は、これまで通り手元の環境で行います。
機械を1台増やして、社内システムにつながっていないAIを入れるより、
すでに現場で動いていて機械の要らないAI桐山を伸ばすほうが、効果が大きいと考えます。
浅野藍が優れている点(開発作業、画像や音声)は、いまの業務の困りごとの中心ではありません。中心にあるのは「案件の過去を調べるのに時間がかかる」「担当がいないと止まる」「抜けに気づくのが遅れる」であり、これはすべてAI桐山が今日すでに引き受けている部分です。
「機械は買わない」という話と矛盾しません。買うのは機械、借りるのは場所です。AI桐山の本体は呼ばれたときだけ動くため場所を持ちませんが、ずっと起きていなければ務まらない係だけは、常時動く置き場所が要ります。それを事務所の機械ではなく、データセンターの一区画として借りているのが仮想サーバーです。
大きなサーバーを区切って、その一区画を自分たちだけの1台として借りる形です。画面の向こうでは1台のパソコンとして扱えますが、実体は事務所ではなくデータセンターにあります。
やることによって、向いている置き場所が違います。いまは下の4つを使い分けています。
| 置き場所 | 向いている仕事 | 弱点 | いまの使い方 |
|---|---|---|---|
| クラウド (Cloudflare) | 呼ばれたときだけ動く仕事。チャットの応答、定時の自動処理 | ずっと起きている仕事や、画面を開く仕事はできない | AI桐山の本体。社内の自動化のほぼすべて |
| 仮想サーバー (さくらVPS) | ずっと起きている必要がある仕事。画面しかないシステムを見に行く仕事 | 借り続けるあいだ費用が発生する | PMVIEWを見に行く係 |
| 個人のパソコン | 人が手元で確かめながらやる仕事 | 電源を切ると止まる。壊れると業務が止まる | 開発と確認のみ。自動化は移設済み |
| 事務所に置く機械 (Mac mini など) | ― | 置き場所・電源・故障・買い替えがすべて社内の負担になる | 使っていません。今後も不要です |
本番で担っているのは1つだけです。PMVIEWを見に行く係で、1日あたりの呼び出しは数件です。しかもこの係が止まっても、判断材料が1つ減るだけで手配そのものは続きます。
つまり「いまの働き分」だけで見れば、契約を続ける強い理由にはなりません。提案の理由は、次に述べる使い道にあります。
A社の情報はA社の部屋の中だけで扱い、部屋ごとに専属の担当役を置きます。混ざらないようにするのではなく、構造として混ざりようがない形にします。チャットの部屋分けと同じ考え方を、仕組みの側にも入れるものです。
画面しかないシステムを見に行く係は、今後も出てきます。そのたびに機械を買うのではなく、同じ区画に増やしていけます。
手元のパソコンでしかできていない作業を移す受け皿になります。パソコンが壊れても業務が止まらない状態に近づきます。
見える範囲を限った空間で新しい仕組みを試せます。社内の本番データに影響を出さずに検証できるため、安全に前へ進められます。
継続し、「クライアントごとに部屋を分ける」土台として使うことをご提案します。
いまの働き分だけを見れば小さい契約ですが、AI桐山をクライアントごとに育てていくには、閉じた部屋を置ける場所がどこかに必要です。事務所に機械を置く形でそれをやると、置き場所・電源・故障・買い替えがすべて社内に返ってきます。借りる形なら、必要な間だけ持ち、要らなくなれば返せます。
継続する場合は、「何を載せるか」を先に決めてから広げます。載せるものがないまま持ち続けることはしません。
買う機械はありません。置く場所も要りません。
担当者の不在で止まることもありません。
AI桐山は、これまで人が時間をかけていた「調べる・突き合わせる・下書きを書く」を引き受け、その結果をトークルームに残していきます。残った分だけ、次に同じことを調べる人が早くなります。
あわせてご判断いただきたいのは、仮想サーバーを続けるかどうかの1点です。これは機械の購入ではなく、クライアントごとに部屋を分けて育てていくための場所を借りるかという判断になります。